大判例

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大阪高等裁判所 昭和25年(う)1511号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

被告人の検察事務官に対する供述は被告人の本件起訴にかかる犯行の自白であつて、谷村一夫と三好宗一の供述はいずれもその補強証拠として掲記せられていることが明らかである。そこで更に進んで右各供述が自白を補強する価値を有するか否かを検討するに谷村一夫に対する検察事務官の供述調書によれば、同人は昭和二十四年四月頃から被告人と知り合いとなつた者であるが、同年十二月十八日頃被告人と共に競輪場へ行つた事実がないというに止まり、三好宗一の原審公判における供述によれば、同人は昭和二十四年一月頃から被告人と知合いとなつた者であつて、被告人が堀野組船舶下請工場に勤務中における収入の状態を知り得るに過ぎない。以上の二つの証拠を総合して認め得るところは、被告人が所持していた現金二万円が何等か不正の方法に因り獲得せられたものであるかも知れないことを窺わしむるだけであつて、右金員が盗品であることを推認せしむることは到底できない。凡そ補強証拠というのは、被告人の自白が真実であるということを保障するに足るもの、即ち被告人の自白した特定の犯罪が架空のものでなく現実に行われたものであることを証するものでなければならない。然るに本件は原判示第二の窃盗について被告人の自白はあるが、之を補強するために掲げられた右証拠によつては、本件窃盗があつた事実即ち特定の犯罪が現実に何人かによつて行われたということを立証することができない。従つて原判決は結局被告人の自白を唯一の証拠として犯罪事実を認定したものと言わざるを得ない。

被告人がその当時金廻りが悪かつたという事実は必ずしも窃盗だけの補強証拠になるものでなく、詐欺、横領、恐喝いなそれのみならず適法な借金をしたかも知れないということの補強証拠にもなるであろう。

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